こんにちは!照葉です。
ネットで広まっている「期間工は底辺なのか」について、(個人的に)白黒付けたいと思い記事を書くことにしました。
どれくらい底辺だと思われているのか?
例えば、こんな風に思われて広まっています。
期間工のイメージ
←ノルウェーの刑務所
某大手自動車メーカーの期間工社員寮→ pic.twitter.com/TyESqsH7PD
— ブラック企業アナリスト 新田 龍 (@nittaryo) October 4, 2017
親戚がトヨタの期間工に入ったのだけど、「あそこクーラーもないし一日中力仕事の単純作業でしんどいけど、学校の部活もそうだったから耐えれてる。学校行ってて良かった!役に立つね!」って話してて、あの教育はほんとに工場労働者量産カリキュラムとしてはよく出来てたんだなぁと実感してしまった。
— Sin@多分システム屋 (@Sin_0006) September 23, 2018
こういったイメージが先行してますね。
感じ方考え方は人それぞれですが、今から期間工を始めたいと考えている人にとって、こういう情報がバンバン出てくると「なんか期間工って危なそう」と期間工への意欲が無くなってしまうと思います。
そんな訳で、期間工は本当に底辺なのか?という事について白黒付けたいと思います。
僕自身、日産自動車の工場でライン工をやっていた経験があるので、期間工のキツイ所~嬉しい所まで全部経験しています。
それを踏まえて総合的に判断します。
それではいってみましょー。
まずは普通と底辺を比べてみる
色々と、底辺や普通の価値観が人それぞれ違うので、整理します。
例えば、ブラックカラー企業=底辺なら、期間工はブルーカラーに該当するので底辺にはなりません。
このように人によって底辺の基準が違うので、まずはそれぞれの基準をざっと挙げてみます。
普通の仕事とは?
普通っていうのが「ありふれた」という意味なので、ありふれた仕事で考えると「アルバイトとかフリーター」が普通の仕事となっちゃいます。
普通の仕事とは言いつつも、大体みんな「まともな仕事」という意味で言ってると思います。
まともな仕事というのも、これまた定義するのが難しいですが、大体
- ホワイトカラー
- 正社員
- 将来性がある
- 業務が過酷ではない
これらに該当するのが「まともな仕事=普通の仕事」というイメージではないでしょうか。
労働基準監督署の調査では日本企業の約66.8%がブラックカラーに属しているようです。
長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果を公表します
この時点でホワイトカラーが少数派になっているので、普通の仕事というハードルは結構高いようです。
正社員と非正規雇用の割合
2018年平均の役員を除く雇用者は5596万人と,前年に比べ136万人の増加となった。
このうち正規の職員・従業員は3476万人と53万人の増加となった。一方,非正規の職員・従業員は2120万人と84万人の増加となった。
男女別にみると,男性は正規の職員・従業員が2339万人と29万人の増加,非正規の職員・従業員が669万人と22万人の増加となった。女性は正規の職員・従業員が1137万人と23万人の増加,非正規の職員・従業員が1451万人と62万人の増加となった。
労働力調査(詳細集計) 2019年(平成31年・令和元年)結果
正社員3476万人、非正規雇用2120万人
比率:正社員60.9%、非正規39.1%
個人的に非正規雇用って結構多いイメージがあったんですが、世間一般的には正規雇用の方がまだまだ多いみたいです。
非正規雇用が多い会社ランキング
期間工募集してる会社がめっちゃランクインしてますね。
期間工だと、本当に周りが非正規ばかりだったんで、世の中非正規しかいないと思ってました(笑)
ちなみにこの調査結果ですが、フリーランスなどの個人事業主や人数が少ない会社(零細企業)はカウントされていません。
日本の個人事業主は220万人、零細企業の人口は800万人ほどなので、全部ひっくるめて統計を取り直せば、正社員と非正規雇用の比率はもっと変わってきます。
将来性について
一般的には公務員、医療関係やエンジニア職、介護福祉、それと衣食住の仕事が将来性がある仕事として有名ですね。
将来性がある仕事に就き続ける為には正社員である必要があります。
非正規雇用だと、将来性はあまり関係ないですね。
逆に将来的に消える可能性が高いと言われている職業は色々言われていますが、直近~10年くらいで消える職業になるとグッと限定されます。
1~10年くらいで消える職業としては、レジや受付関係(セルフレジや自動受付が主流になるため)だと言われています。
次に農業。これはTPPの可決がデカいようです。TPPの契約書(条文)?は1000ページもあり、殆どが日本が不利になる内容ばかりです。
海外から激安の野菜が流れてくるようになるので、高齢化が進んでいる農家の人達は大打撃を受ける事になるだろうと言われています。
牛肉も100g600円→480円くらいまで安くなってますね。
話が脱線しましたが、AIもバリバリ発展はしてはいるものの直近で消える職業は少ないので、将来性についてはあまり考えないでよろしいようです。
業務のキツさについて
キツイ仕事ランキングによると
- 16位 工場勤務スタッフ
- 15位 歩合制営業
- 14位 配送スタッフ
- 13位 とび職
- 12位 システムエンジニア
- 11位 警備員
- 10位 警備員
- 9位 客室乗務員
- 8位 トラック運転手
- 7位 保育士
- 6位 産婦人科医
- 5位 引越し作業員
- 4位 スポーツ選手
- 3位 セールスドライバー
- 2位 看護師
- 1位 介護福祉士
となっています。
工場勤務スタッフ(期間工)が16位なのは、食品や紡織といった全ての工場をひっくるめてるからですね。
ランキングだけ見ると期間工は結構下の方になっちゃいますが、自動車工場に限定すると結構順位上がると思います。
上位の方に医療や介護の仕事が集中しているので、将来性があっても激務だと話が変わってきますよね。
こうしてみると、まともな仕事と言われている(イメージされている)のは大手企業の総合職とか公務員だけなのかなーと感じてきますね。
底辺の仕事とは?
普通の(まともな)仕事と言われているのが、条件だけでも少数派中の少数派(ただの理想)というのが分かったところで、逆に底辺と言われている仕事にはどういったものがあるのか見ていきましょう。
底辺の仕事をざっくり説明するなら
- きつい
- 離職率が高い
- 低収入
- ブラック企業
- 残業が多い
といったところが落としどころになりそうです。
最初の①に関しては、仕事がきついのは当たり前って感じもしますが…(笑)
肉体的又は精神的にきつい仕事って…逆に、心身共に疲れない仕事って何?という話にもなりそうです。
↑そういうのは、職場の環境が自分に合っているからであって、底辺とは関係ない気もします
離職率が高い仕事とは
では離職率ではどうでしょうか?
職場の環境が悪いと人の入れ替わりが多くなるので、職場が悪くなればなるほど離職率も上がっていきます。
離職率が高い職種=みんなに嫌われてる仕事ということになるので、底辺と呼ばれても仕方がないですね。
厚生労働省のHPで新卒の離職状況(1年以内の離職)を調査した結果が出てるので、それをまとめてみました。
グラフに直すとこんな感じになりました。
すみません、グラフ作成する時ミスって「離職率が高い」と書いてしまいました。正しくは「離職者数が多い」です。
製造業は細かく分類されており、自動車関係を「期間工」として切り離しました。
介護士や看護師など医療福祉、コンビニなどの小売りが断トツで離職者数が多いですね。需要が高いIT業界や教育・研究なんかも離職者が多いようです。
次は「離職率(1年以内)」です。
これが重要ですよね。
自動車メーカの離職率が一番低い結果となりました。
新卒限定なので、それもあるかもしれません。
工場だと新卒と期間工(非正規)の扱いは天地くらいの差があり、新卒は大切にされるので離職率が低くなるんだと思います。
本当の期間工だったら離職率えげつないと思います(笑)
低収入の仕事って何がある?
上と同様に厚生労働省のHPから賃金の平均を取ってきました。
医療福祉は結構高めだと思ったのですが、意外な結果でした。
業種だと分かりにくいので、職種別で調べてみたところ見つけました。
こうしてみると、月収もさることながら、如何にボーナスや特別手当が大事かというのがよく分かります。
同じエンジニアでも、システムエンジニア(設計職)とプログラマー・自動車整備士で収入に差があるようです。
男だと、介護やタクシーの運転手・警備員、女性だとミシン・スーパーの品物チェック・ビル清掃員、といった職種が低収入となっているようです。
残業時間について
残業が多い職種は次のようになっていました。
※当たり前ですが、飲食店のように社員を店長(管理職)にして超残業させるというやり方をしてる場合、管理職という事でカウントに入りません。
飲食や営業関係がリストアップされないのは何かヤッテルからでしょう…多分(笑)
自動車工場は大体20~30時間の間で推移しています。
僕が働いていた時は60超えてましたが、働き方改革で残業時間がかなり減ったようです。
個人的には「稼ぎ」の面もあるので大体20~25時間くらいが理想ですね。
(1日1時間ちょいの残業)
期間工のデータをまとめてみる
期間工はこんな感じ
- 大手メーカー工場は非正規が多い
- 将来性については現状問題なし
- キツさは順位的にマシな部類
- 離職率(正社員の場合)は低い
- 収入面はランキング上位に入る
- 残業はそこそこある
- 工場はブラックではない(ブルー)
まとめるとこんな感じになりました。
まともな仕事の条件は満たしてないけど、底辺の仕事の条件にも当てはまらない、どっちつかずな立ち位置ですね。
項目を一つ一つ説明してきます。
大手メーカーは非正規が多い
非正規雇用ランキングを見ると、イオンや郵便・コンビニ関係など、社員の殆どが非正規で構成されている会社もありますが、自動車メーカーも何社も上位に入っています。
そもそも期間工も非正規ですし、自動車工場に非正規が多いというのは当たり前ですね。
将来性については問題なし
AIが進んで自動運転が始まるようになっても、自動車を作る人というのは絶対に必要になります。
現場の工程を知らない人は、全ての作業がロボットに替わると想像していますが、塗装課や車体課を見れば「有り得ない話」だという事がよく分かると思います。
これは実際に中に入ってみないと分からないとは思います。
今後、ロボットに替わる工程が増えていくのは間違いないと思いますが、将来性が危ぶまれる程にはならないと思っています。
実際に、TPPが始まって海外から安い野菜や肉が入ってくるようになりましたが、今の所日本の農家も頑張っています。
でも、TPPの影響はAIよりも遥かに危険視されていて、そっちの方が危ないと言われていますね(日本が不利になるという意味で)。
キツさは順位的にマシ
期間工と言えば身体がボロボロになるくらいキツイ、として有名ですね。
ただ、これはあくまで一部の工程(組立や車体)に言える事で、自動車工場全体で考えると大分平均化されるし、期間工全体(自動車関係だけじゃなく半導体とかも含めて)になると更に平均化されます。
なので期間工全体で考えると、キツさの順位は大分下がるようです。
いや、実際に僕もキツイ工程をやらされていたので、こういうのを見ると「えっ?隣の先輩とか疲労骨折するくらいのキツさだったんだけど…?それでこの順位っておかしくない?」という気持ちもありますが、全体で考えるとマシな方になるようです。
離職率(正社員)は低い
自動車工場で働く正社員の人の離職率はかなり低いです。
非正規だと辞める人が多かったりしますが、正社員になると色々と働きやすくなるのかもしれません。
収入は高い
収入ランキングから見ると、自動車工場の給与は比較的高水準だという事が分かります。
見てみると、改めて「ボーナスって大きいなぁ」と実感します。
期間工でも慰労金や入社祝い金など特別手当が充実しているので、非正規の中でも年収は高水準になります。
残業はそこそこ
働き方改革で、色々な所が残業に厳しくなってます。
自動車工場も例外ではなく、社員期間工問わず残業はかなり削られています。
自動車工場の場合、イレギュラー(設備停止等)で生産が遅れた時、土曜日を使って挽回するというやり方が主流になっているので、どうしても他の仕事より残業は多くなりがちです。
大手自動車メーカーはホワイト企業
近年では労働法に違反している企業はブラック企業と呼ばれ叩かれる風潮にありますが、大手自動車メーカーはホワイト企業が多いです。
手当も雇用契約書に書いてある通りしっかりと支給されますし、残業代も出ます。
勿論期間工だからといってサビ残を強要されたりもしません。
ただ、これは24時間稼働している工場の特徴なのかもしれませんが、大体皆始業時間の15~30分前には会社に来ます。
引き継ぎとか在庫の確認とかを始業と同時(ライン稼働と同時)にやるとてんやわんやになってしまうので、結構早めに会社に来る人が多かったです。
この辺りについては人によって判断が分かれると思います。
まとめ~理想の仕事ではないけど底辺でもない!
まとめてみると、どう考えても底辺ではないです。
底辺ではない!これにて決着!
という事でよろしいでしょうか?(笑)
底辺と感じているのは働いてる本人(期間工)だけで、世間を見てみると底辺というわけではないようです。
ただ、働いてる間底辺だと感じるのは仕方がない部分もあります。
キツイ工程に配属されたりすると、ロボットのように単調作業を繰り返すだけで得るものが何もなく、ただ身体を傷めつけて家に帰るというのが馬鹿馬鹿しく感じたりするので。
この辺りは運の要素が大きいので何とも言えません。
人によっては上手い事目標を立てたりして、やりがいを見出す事が出来るかもしれません。
底辺ではなさそうなので、
・これから期間工をやる人は安心して
・既に期間工をやっている人は自信を持って
頑張ってきましょう。
以上